市松人形の有名作家は、数多く存在します。それぞれの人物像や特徴を理解すると、人形をより楽しめるだけでなく、奥深さを感じるはずです。
この記事では、市松人形の有名作家7名をピックアップして紹介します。買取相場などの情報も付け加えているので、知識を広げたい方はぜひ最後までお読みください。
この記事のポイント
- 市松人形の有名作家一覧
- 有名作家の人物像
- 有名作家が手がけ市松人形の特徴
- 有名作家が手がけた市松人形の買取相場
市松人形の作家一覧
市松人形の有名作家は沢山いますが、ここでは特に有名な7名を厳選しました。
- 松乾斎東光
- 平田郷陽
- 山川永徳斎
- 瀧澤光龍斎
- 藤村紫雲
- 小出松寿
- 伊藤草園
松乾斎東光
松乾斎東光は、大正元年に創業した工房を持つ伝統ある人形師です。現在4代目まで続いており、千葉県市川市に80年以上にわたって工房を構えています。
特徴
- 桐塑・胡粉仕上げの技法を用いる
- 目元や口元に優しさが表現されている
- 古布を使用し、温かみのある仕上がり
歴史的な功績は、令和元年度に千葉県伝統的工芸品に指定されました。また、4代目の岩村亮氏は、答礼人形製作に携わった祖父の技術を継承しています。
平田郷陽
平田郷陽は、人形作家として初めて重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された人物です。
特徴
- 「生人形(いきにんぎょう)」と呼ばれる写実的な技法
- 衣装人形の第一人者
歴史的な功績は、2代目平田郷陽が人間国宝に選定されています。また、1927年には「青い目の人形」への返礼人形を製作しました。
平田郷陽の作品は高い評価を受けており、100万円程度の買取価格となることもあります。
山川永徳斎
山川永徳斎は、江戸・東京を代表する人形司として知られています。
特徴
- 気品高い顔立ち
- 精巧無比な創造性
歴史
- 初代永徳斎は京都出身で、岡田次郎左衛門の下で修行
- 照憲皇太后に市松人形を献上し、「永徳斎」の号を賜る
- 宮中御用や財閥関係、上流階級から多くの受注を得る
- 現在4代目まで続いている
各代の特徴
- 初代:江戸期の顔立ちを継承、雛人形中心
- 2代:明治盛期の気品ある顔立ち
- 3代:大正期の幼い顔立ちと写実性
- 2代以降:武者人形に秀作が多い
瀧澤光龍斎
瀧澤光龍斎は、明治時代から続く人形師の名跡です。
特徴は、伝統的な技法の継承している点です。歴史的な功績は、2代目光龍斎が1927年の「青い目の人形」への返礼人形を製作しています。
藤村紫雲
藤村紫雲は、東京墨田区本所を拠点に活動する市松人形作家です。
特徴
- 桐塑を基礎とし、胡粉と膠を使用する伝統的な技法
- 人毛や絹糸を使用した髪の表現
- 着せ替え可能な本格的な着物の着付け
歴史
- 昭和58年に人形師の叔父に師事
- 平成5年に祖父の「紫雲」の号を襲名
- 海外でのデモンストレーションや展示会に多数参加
- 平成20年にすみだマイスター認定
- 平成23年に墨田区伝統的工芸技術保持者認定
小出松寿
小出松寿は、大阪を拠点とする人形工房です。
特徴は、手頃な価格帯から高級品まで幅広い市松人形を制作しているほか、モダンなデザインも取り入れた作品がある点です。
歴史では、百貨店や専門店での販売実績があることと、伝統的な技法を守りつつ現代的なニーズに応える作品作りを行っていることが挙げられます。
伊藤草園
伊藤草園は、雛人形作家としても知られる人形師です。
特徴は、市松人形と雛人形の両方で高い評価を受けるほか、味岡映水の頭を使用した作品も制作されている点です。
歴史では、雛人形作家としての経験を活かし、市松人形の制作にも携わっています。
市松人形の作家一覧と豆知識
- 市松人形の有名作家
- 市松人形のなかで高級なもの
- 市松人形の買取相場
- 人形作家の女性
- 人形作家で人間国宝の人物
市松人形の有名作家
市松人形の世界には、多くの有名作家がいます。
松乾斎東光は4代にわたり伝統を継承し、桐塑・胡粉仕上げの市松人形で有名です。平田郷陽は、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定され、リアルな表現で高い評価を受けました。
山川永徳斎は宮中御用や上流階級からの注文を多く受け、江戸・東京を代表する人形司として知られています。味岡映水は、繊細な表情と丁寧な仕上げが特徴です。
また、与勇輝、寺沢京秀、野崎芳寿なども、独自の作風で市松人形の芸術性を高めた有名作家として知られています。
市松人形のなかで高級なもの
高級な市松人形の特徴は、伝統的な技法で作られている点です。桐塑(とうそ)と呼ばれる、桐の木の粉と糊を混ぜて作られた生地に胡粉を塗って仕上げる江戸時代からの製法が用いられています。
「高級」ということは、人によっては、お値段が高いものとそれぞれのもつ解釈により意味も異なってくると思いますが、こちらでは、昔ながらの伝統的な技法で作られたものを高級な市松人形としています。それは、伝統的な技法で作られた市松人形は熟練の職人が、技法や材質、着物の生地から縫製、着せ付けまですべてにこだわり、時間を掛けて制作をしているからです。
また、目がガラスでできているものや、三つ折れ(関節が動く)構造のもの、高価な絹織物や細かい刺繍が施されたものも高級品です。
さらに、有名作家の作品や戦前など古い時代に製作されたものも高級品として扱われます。
これらの特徴を持つ市松人形は、芸術性が高く、コレクターからの需要も高いです。
市松人形の買取相場
市松人形の買取相場は、作家や状態によって大きく異なります。
無名の作品では値段がつかないものから6,000円程度で取引されますが、有名作家の作品は高額で取引されます。
例えば、瀧澤光龍斎の作品は30,000〜60,000円程度、平田郷陽の作品は80,000〜900,000円程度の幅広い価格帯で取引されています。森重春幸の作品は16,000〜60,000円程度、藤村明光の作品は13,000〜30,000円程度です。
大木平蔵の作品は約50,000円前後、山川永徳斎の作品は150,000円前後で取引される場合があります。
ただし、これらの買取価格は参考値であり、実際の買取価格は作品の状態や市場の需要によって変動するので注意しましょう。
人形作家の女性
市松人形の世界では、多くの女性作家も活躍しています。
市橋とし子は桐塑人形の技法で知られ、1989年に人間国宝に認定されました。秋山信子は、日本各地の祭礼行事や中国の風俗を題材とし、独自の様式を築いて、1996年に人間国宝に認定されています。
また、鹿児島成恵も、市松人形の分野で活躍した女性作家のひとりです。
これらの女性作家たちは、それぞれ独自の視点と技法で、日本の人形文化に大きな貢献をしています。
人形作家で人間国宝の人物
人形作家の中で人間国宝に認定された人物は、日本の伝統工芸の最高峰として評価されています。
平田郷陽は1955年に「衣裳人形」の保持者として認定され、リアリズムと抽象的なデフォルメを融合させた独自の作風で有名です。堀柳女も同じく1955年に「衣裳人形」で認定され、創作人形運動の先駆者として活躍しました。
野口園生は1986年に「衣裳人形」で認定されています。紙塑人形の分野では、鹿児島寿蔵が1961年に、桐塑人形では市橋とし子が1989年に、林駒夫が2002年に認定されています。
これらの人間国宝たちはそれぞれの技法を極め、日本の人形文化の発展に大きく貢献しました。
市松人形の作家一覧まとめ
記事のポイントをまとめます。
項目 | 説明 |
---|---|
伝統と革新 | 松乾斎東光や山川永徳斎のような伝統継承作家から、現代的感性を取り入れた作家まで多様性に富む |
技術の継承 | 桐塑・胡粉仕上げなどの伝統的技法が世代を超えて受け継がれ、高級品の特徴となっている |
芸術性と価値 | 人間国宝の平田郷陽のような作家の作品は高い芸術性と経済的価値を持ち、100万円超の買取価格も |
女性作家の活躍 | 市橋とし子や秋山信子など多くの女性作家が人間国宝として認定され、独自の視点で文化に貢献 |
市場価値の幅広さ | 無名作家から有名作家まで、買取相場は数千円から数十万円と幅広く、作家や状態で大きく異なる |
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